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感想
これは文庫本。最初にハードカバーが出たのは2000年らしい。だから高校生の時に一度読んだのだと思う。でも覚えているシーンが殆ど無く、新しく読むのと変わらなかった。
解説はあさのあつこさん。森さんの本にあさのさんの解説かよ…!ってそれだけで興奮したり。364ページを読めば「ああ、もう全くその通りです。ありがとうございます。」と言いたくなり、読み終わったらもうブログに感想書かなくてもいいなとも思い。でも、まあ、書こう。
「何ら違和感を感じず、最後まで読みました」
一言で言うとこれ。スッと本の世界に入り込んでポーっと浸っていたら読み終わってました。ナチュラルに。本を読んでいると、「こんな女はいない」とか「なんだこの男は」とか「この場面はどういうことだ」とか多少の違和感はあったりするんだけど、なかったなあ。森さんの本はカラフルを読んだのが最初だけどやっぱり全然覚えてなくて。その時もそうだったかなあ。
文庫本の上巻には、ハードカバーの1・2冊目が入っていて、その2冊目に相当する「2部 スワンダイブ」はとある少年が悩んでいる描写が多かった。飛込みのシーンはあまりなかった。大体そういうのは私は面倒くさくて嫌いなのだけど(自分のごちゃごちゃ考える所すら面倒くさいのに、と)、この本は全くそうは思わなかった。これも不思議。
あ、でも最後にひとつ。麻木夏陽子、あなたはできすぎた女だ!(笑)
下巻、読んできます。
引用
背広の男に媚びた笑みをむける富士谷コーチが、知季には不快だった。この気どった背広をはぎとって水着にすれば、こんなおやじより富士谷コーチのほうが数段かっこいいことはわかっているけれど、くやしいことに世の中の大抵のことはプール以外の場所で起こっている。(P24)
かわいい子だとは思う。嫌いじゃないのはたしかだ。でも、今すぐ会いたいとか声がききたいとか無性に抱きしめたいとか結婚したいとか浮気は許さないとか子供が三人ほしいとか地震が起きてもおれが守ってやるんだとか、そんな気持ちは一度も抱いたことがない。(P32)
「どうせやるならとことんやれ」
と父は応援し、
「でも再来年は受験よ、勉強はいいのかしら」
と母親は心配し、
「飛込みもいいけど、あんまり未羽をさびしがらせんなよ」
と弘也は釘をさし、
「トモくんがどんどん遠くなっちゃう気がする」
と未羽は声を湿らせ、
「どうせトモは忙しいんだろ」
と中学の友達は知樹を遊びに誘わなくなり、皆がそうして遠のいていく中で、チクワだけが日に日に知季へなついていった。(P55)
「うん。やるよ、三回半」
知季は間髪を入れずに言った。
迷いのかけらもないその声に、飛沫は思わず意地悪な問をぶつけていた。
「成功率は?」
「率じゃないんだ」
「え」
「率じゃなくって、気合いなんだよ」(P209)
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