2011-08-08

西の魔女が死んだ / 梨木香歩 読了



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西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社 2001-07
評価

感想


中古で100円だったんですよ。印刷も三年前で日焼けもしておらず、綺麗でした。有名な本だからでしょうか。よく表紙とタイトルは目にするけど読んだことはなかったので読んでみました。

童話のようなお話でした。元々児童向けなんでしょうか?おばあちゃんの存在と、おばあちゃんの家の環境や暮らし方が穏やかでやさしくて素敵です。ラベンダーの香りのするシーツで寝てみたいな。
 すすぎ終わると、おばあちゃんとまいはシーツの端と端を持って反対方向にひねって絞った。びっくりするくらい水が出て、それからもう一度広げて畳んでいき、パンパンとたたいてしわを伸ばした。おばあちゃんはそれをふわりとラベンダーの茂みの上に広げた。
「汚れない?」
「さっき、上から水をかけておいたのできれいです。こうすると、シーツにラベンダーの香りがついて、よく眠れます」(P83)

私はおばあちゃんがすきになりました。でも、主人公のまいに馴染めませんでした。中学1年生なので幼さからでしょうが…頭に血が上ると気性が荒くなってしまうというか、思い込みが激しいというか、融通がきかないというか。それでずっと主人公に馴染めなくて、本編の最後から3ページ目(190ページ)からいきなり読みやすくなりました。後日談も読みやすかったです。

梨木さんの他の本だと「裏庭」が有名ですよね。これ…読んだことあったかなかったか、あらすじ読んでもさっぱり思い出せなくて。確かうちにあったのでその内読みましょう。

引用


 まいは、小さいころからおばあちゃんが大好きだった。実際、「おばあちゃん、大好き」と、事あるごとに連発した。パパにもママにもそんなことは照れくさくて言えない。おばあちゃんが外国のひとで、そのことでかえってストレートに感情を表現できるのかもしれなかった。そういうとき、おばあちゃんはいつも微笑んで、
「アイ・ノウ」
知っていますよ、と応えるのだった。(P16)

「ずいぶんゆっくりしてきたのね」
おばあちゃんがママに優しく声をかけた。
「ええ」
と、ママはため息をつきながらテーブルについた。
「まいが棚や机の引き出しを使えるように、置いてあったものを段ボールに詰めてきたんだけど……」
「ひとつひとつ、懐かしかったのね」
「そう。最後にガムテープで止めたとき、私の人生の一部がここに封印されたような気がしたわ」(P36)

「ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ、長い時間をかけて、だんだんに強くしていけばね。生まれつき、体力のあまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね。最初は何にも変わらないように思います。そしてだんだんに疑いの心や、怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打ち勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう永久に何も変らないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起こるでしょう。そしてまた、地味な努力を続ける、退屈な日々の連続で、また、ある日突然、今までの自分とは更に違う自分を見ることになる、それの繰り返しです」(P73)

リンク



考察されてる方がいらっしゃったのでリンクします。

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